本講演要旨
新潟大学が進める農業DX事業は高度農業人材を育成する教育と、IT技術を活用した新しい農業を作り出す研究の2つの柱で構成される。
IT技術を活用した新しい農業は農業システムという形で社会実装されるが、これを担うのが高度農業人材である。
高度農業人材の役割は高性能な農業機器の使い方をマスターすることではない。圃場から集めた情報を解析して今後の方針を決定するデータ主導型の農業システムを実装しなければならない。
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https://staging.tochinomi.club/smart_agri_symposium-2023_001.html -
03 新潟大学が進める農業DX
新潟大学の農業DX事業は2つの柱で構成される。
高度農業人材を育成する教育とスマート農業が提唱する新しい農業を作る研究である。新しい農業は高度農業人材によって社会実装される。こうして生まれる営農の効率化が農業システムである。
03 新潟大学が進める農業DX
04 用語の定義

農業DXは「テクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」というDXの概念と、「IT技術を活用し生産性を向上させる新たな農業」を目指すスマート農業の概念が統合されたものである。
05 システムとは何なのか?

システムとはヒト・モノ・カネの動きを効率化する仕組みである。
とかくモノの部分が注目されるが、システムに関わるヒトやシステムの導入によって環流されるカネの動きもしっかりと考慮しなければ良いシステムは完成しない。
これは農業システムも同様である。
とかくモノの部分が注目されるが、システムに関わるヒトやシステムの導入によって環流されるカネの動きもしっかりと考慮しなければ良いシステムは完成しない。
これは農業システムも同様である。
06 農業システムとは何なのか?

農業システムは単に農業機器を導入することで実現されるわけではない。
IT技術を活用した機器により作業工数を抑えることができた分の資源を地力の向上といった課題への対策に割くことが必要である。
結果、収量の増加や品質の向上につながり新たな挑戦のきっかけとなる。こうした持続的な農業の実現が農業システムである。
IT技術を活用した機器により作業工数を抑えることができた分の資源を地力の向上といった課題への対策に割くことが必要である。
結果、収量の増加や品質の向上につながり新たな挑戦のきっかけとなる。こうした持続的な農業の実現が農業システムである。
07 新しい農業を作る最先端の機器

農業DX事業の一環で新潟大学が本年度購入した最先端の農業機器の一部である。
こうした機器が営農をどのように変えていくのかといった研究を新潟大学では進めている。
こうした機器が営農をどのように変えていくのかといった研究を新潟大学では進めている。
08 農業システムを作る高度農業人材

農業DX事業のもう一つの柱が
高度農業人材の育成である。高度農業人材は卓越したIT技術を持たない農家からの問題提起を分析し、メーカの垣根を越えて情報や機材を調達することで農家の抱える問題を解決する農業システムを構築することが期待される。こうした役割を担える職種は存在しない。今後、こうした市場が成熟し農学部を卒業した学生の活躍の場となるだろう。
09 必要なのは最先端の機器ではない

農業DXの一部であるスマート農業には高価格・高性能な最先端の農業機器が必要だと誤解されている。しかしながら必要なのは、機器から得た情報を活用することであり、圃場や生産物の将来のカタチを予想する技術である。高度農業人材に期待されるのは機器の扱いをサポートする知識ではなく情報を分析するチカラである。そうして進められる農業が
データ主導型農業である。
10 データ駆動型農業の要となる農業データサイエンス

高度農業人材には取得した情報を解析して今後の方針を決定するデータサイエンスの技術が必要となる。しかしながら農業分野では解析の対象となるビッグデータが存在していない。ビッグデータの解析手法に着目する他業種での
データサイエンスと異なり、農業分野ではビッグデータを獲得するデータエンジニアリングの技術から学ぶ必要がある。データエンジニアリングにはセンシング手法などを含めた包括的なITリテラシーが必須となる。
11 農業DXの今後はどこへ向かうのか?

今後、農業DXは
より緻密なシミュレーション結果に応じた工程や灌水・肥料の管理、病害虫の予察へと進んで行くだろう。
デジタルツイン(Society 5.0)の実装へと進むことが予想される。より緻密なシミュレーション結果に応じた工程や灌水・肥料の管理、病害虫の予察へと進んで行くだろう。
12 農業DX×新しい研究〜クラウドファンディング募集中〜

農業DX事業に関連する最先端の研究をバックアップしてもらうためのクラウドファンディングを行っている。
* 『デジタル農場』 長谷川教授
* 『イネ新品種』 山崎教授
* 『ウシの検査手法』(準備中) 山田教授
* 『デジタル農場』 長谷川教授
* 『イネ新品種』 山崎教授
* 『ウシの検査手法』(準備中) 山田教授
13 授業を補完する農業DXサークル

授業で学べる内容は限られる。
在学中から
(R5年度サークルとして登録予定)
在学中から
高度農業人材としての活動を体験できる農業DXサークルを開催中。(R5年度サークルとして登録予定)
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